購入したい銘柄の株価は「割安?」「割高?」どのように判断をすればいいの?PERやPBR以外のモデルも紹介。

株式投資

株価が割安か割高を判断する方法と聞くと、PERやPBRなどの株価指標を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。もちろんPERやPBRなどの指標も、株価の割安か割高かを判断するには有効です。しかし今回は、これらの類のお話しではありません。判断する方法には株価指標の他に理論価値による判断方法があります。今回は理論価値に基づく判断方法についてお話をしていきたいと思います。

理論価値はどのように求めるのか?

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市場で取引されている株価は次のように構成されていると解釈することができます。

①企業価値
②過去の業績推移に基づく成長期待価値
③過去の業績推移に因らない成長期待価値
④その他の価値形成要因

理論価値は主に①と②を基に算定されます。理論価値を算定する方法はいくつかありますが、今回ご紹介するのは次の2つです。

①配当割引モデル(DDM)
②フリーキャッシュフロー(FCFE)割引モデル

配当割引モデル(DDM)とは?

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株式の本質的な価値は、将来受取るキャッシュフローを割引いた、現在価値の合計であるとの考え方が配当割引モデルと言われるものです。この場合、将来受取るキャッシュフローは配当を指します。

また、現在価値とは将来の価格を現在の価格に置き換えることを意味します。例えば預金金利を年5%とした場合を考えてみます。今の100円は、一年後の105円と捉えることが出来ます。また1年後の100円は現在のおよそ95円と考えることも出来るのです。そして定率成長型の配当割引モデルは次のように求められます。本来は∑を用いた計算過程がありますが、

今回は結論のみ記載します。

P=D/(R-g)
D =配当金 R=投資家の要求投資収益率 g=サスティナブル成長率

投資家の要求投資収益率とは

要求投資収益率とは、投資を行うことで獲得することが期待できる平均的な収益率を指します。違う見方をすれば、「この商品に投資をするのであれば、これだけの収益はほしい」と考える収益率と捉えることも出来ます。

一般的には大型株であれば5%、小型株であれば7%ほどで計算されることが多いです。また新興市場の銘柄であれば、リスクプレミアムがさらに加算されます。

サスティナブル成長率とは

サスティナブル成長率とは、企業の内部留保によって達成できる「一株当たりの利益の成長率と配当の成長率」をいいます。式で表すと次のようになります。

g=期首ROE×(1-配当性向)

例えば純利益のすべてを配当として出した場合、サスティナブル成長率は0となります。また配当を出さずに利益の全てを内部留保にまわした場合は、サスティナブル成長率と期首のROEは等しくなります。

フリーキャッシュフロー(FCFE)割引モデルとは

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フリーキャッシュフローとは、企業が事業に必要な投資を行った後に残るキャッシュフローです。これは、株主が自由に使える資金と言えます。また、企業が配当を出す時の支払い可能額に直結するものにもなります。フリーキャッシュフロー割引モデルとは、株主が本来自由に使える資金を基に理論価値を査定する方法です。算定方法は次の通りです。

P=FCFE/(R-g)
FCFE=1年後のフリーキャッシュフロー R=要求投資収益率 g=サスティナブル成長率

フリーキャッシュフロー(FCFF)との違い

フリーキャッシュフローの求め方はいくつもあります。それはフリーキャッシュフローの概念が正確には定まっていないことが要因です。主な求め方をまとめてみました。

①フリーキャッシュフロー(FCF)

FCF=営業CF+投資CF
これは、非常に簡潔に表したものです。大まかに判断する場合には、手軽につかえるのではないでしょうか。

②フリーキャッシュフロー(FCFF)

FCFF=営業利益・(1-法人税率)+減価償却費-(設備投資額+運転資本増減額)
これは、より詳細にフリーキャッシュフローを求める時に使用します。しかし、FCFFには債権者に支払う費用等が含まれていません。したがってFCFFは債権者と株主に帰属するキャッシュフローと言えます。ただし、負債のない企業の理論価値を求める場合にはこちらも使えます。

③フリーキャッシュフロー(FCFE)

FCFE=当期純利益-純投資額・(1-他人資本比率)
純投資額=設備投資額+正味運転資本増加額
正味運転資本増加額=流動資産増加額-{(流動負債-短期借入債務)の増加額}
FCFEはFCFFから債権者に帰属する部分を差引いたものです。よってFCFEは株主に帰属するキャッシュフローであると言えます。

理論価値を使用する場合の注意点とは?

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DDMやFCFE割引モデルによる割安や割高の判断が万能であるかと言えばそうではありません。例えばネームバリューや特許などの財務諸表に見えない企業価値を、全く考慮していないことなどが挙げられます。

また、個別の算定方法にも注意が必要です。例えばDMMであれば、そもそも無配の企業には使用することもできません。さらには要求投資収益率に関しても曖昧な部分があります。なによりR>gの場合でなければ算出は困難です。

まとめ

PERやPBRなどの判断方法を相対的判断と捉えるのなら、理論価値による判断方法は企業価値の本質による判断と言えるかもしれません。しかしマーケットは理論価値には表されない価値や、過去の業績に因らない成長期待価値も織込まれています。理論価値に過度の期待は禁物です。様々な判断基準を用いて株価水準を見極める必要があります。