優待クロス取引とは何か?銘柄の選び方や注意点を解説!

株式投資

優待クロス取引とは、現物の買いと信用の売建を組み合わせることで、ほとんどリスクなく優待の権利を得ることができる取引です。

今回は、優待クロス取引の具体的なやり方や、取引を行う際の注意点などを解説します。まずは優待クロス取引を理解する為に必要な株取引の基礎知識を確認します。

株主が得られる権利とは?現物取引と信用取引の違い

株式を購入し、権利確定日を跨ぐことで株主としての権利が得られます。そして株主として得られる権利は次の通りです。

① 株主総会への出席及び議決権の行使
② 配当金の取得
③ 優待の取得

一般的に言われているこれらの権利は、現物で購入した時に発生する権利です。
では、信用取引で買建(購入)した場合はどうなるのでしょうか?

信用取引で購入した場合には①と③の権利は得ることが出来ません。なぜなら信用取引とは、証券会社や証券金融会社より資金や株券を借りて行う取引です。したがって、信用取引で購入した場合、株主名簿には証券会社や証券金融会社の名義が記載されるからです。

では②の配当金はどうなるのでしょうか?本来配当金も証券会社や証券金融会社の権利です。しかし配当金に関しては、配当落調整金として信用買いを行った投資家に還元される仕組みになっています。

では、反対に信用の売建(新規売り)をして権利確定日を跨いだ場合はどうなるのでしょうか?この場合は②の配当金のみ、配当落調整金として支払う義務が生じます。③の優待に関しては一切の処理は行われません。実はこの違いこそが、優待クロス取引のポイントになります。

優待クロス取引ができる銘柄は?

ヤマダ電機の配当と株主優待の利回り.jpg

全ての上場銘柄で優待クロス取引ができるのかと言えばそうではありません。優待クロス取引を行うためには次の2つの条件が必須となります。

① 優待を実施している銘柄であること
② 貸借銘柄であり、かつ申込停止処置の規制が入っていないこと

そもそも、優待を実施していない銘柄では優待クロス取引を行う意味がありません。

そして何より、信用の売建ができる銘柄でないとクロス取引を成立させることは困難です。売建に関してもすべての上場銘柄で出来る訳ではありません。信用の売建ができる銘柄は「貸借」と標記されています。「信用」と表記されている銘柄は、原則信用買しかできませんので注意が必要です。また例え貸借銘柄であったとしても、銘柄が規制中であった場合には売建はできませんので、クロス取引を行う前に必ず確認が必要です。

優待クロス取引の方法とポイント

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優待クロス取引は、現物取引で得られる権利(配当金と優待)と信用売建によって生じる義務(配当落調整金)との差から生まれる優待を得ることを目的にしています。

配当金+優待-配当落調整金≒優待

したがって価格差によるコストを防ぐ為に同値にて現物買いと信用売建を約定させる必要があります。具体的な手順は下記の通りです。

① 権利付確定日に寄付注文を発注(現物買いと信用の売建)
寄付注文は前場でも後場でも問題ありません。しかし後場の引注文はザラバ引けをした場合、約定をしませんので避けた方がいいと思います。

② 権利落日に現渡しによる決済
優待クロスにはコストがかかります。優待クロスにかかるコストやリスクは後ほど解説しますが、極力コストを抑える為にも翌日に決済を行う必要があります。
また、反対売買による決済より現渡しによる決済の方ごコストが抑えられると思います。

優待クロス取引におけるリスクとコストはなに?取引の注意点

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優待クロス取引は、買いと売りを同値で行いますので、価格変動リスクや価格差によるコストは排除されます。では他にどのようなリスクやコストが存在するのでしょうか?

優待クロス取引におけるリスク

優待クロスに取引におけるリスクは次の2つが挙げられます。

1 逆日歩
2 優待の廃止

逆日歩(ぎゃくひぶ)は信用売り残が増加することで貸株不足が生じたときに発生します。発行株式数が少ない銘柄や浮動株比率が低い銘柄は、予想外の料率がつく場合がありますので注意が必要です。

仮に優待の権利を取ったとしても、企業の業績や利益還元政策の如何によっては、優待が廃止される可能性があります。廃止がなされた場合は、優待クロス取引は意味のないものとなってしまします。

優待クロス取引にかかるコスト

優待クロス取引にかかる主なコストは次の3つが挙げられます。

1 売買手数料
2 現物の配当金と信用売りの配当落調整金の差額
3 貸株料

売買手数料は、取引を行う際に証券会社に支払われるものです。対面取引をされている方は、優待クロス取引を行ったとしても手数料負けをしてしまう可能性があるので注意が必要です。

現物取引で得る配当金と信用の売建で支払う配当落調整金にはズレが生じます。配当落調整金は一度、証券金融会社を経由することから受取額より支払額が多くなります。

貸株料は株を借りるときに生じる貸出料になります。

まとめ

優待クロス取引は、リスクやコストは存在するものの保有期間が1営業日であることを考えると、さほど大きな負担ではありません。比較的安全に優待のみを得ることは可能です。しかし過度の優待クロス取引は、取引ルールの観点において細心の注意が必要です。同値による反対売買は相場操縦や仮装売買などの不適切な取引とみなされてしまう可能性があります。節度を持った取引が大切です。