信用取引における空売りのリスクと注意点

株式投資

株式で取引を行う一般的な方法は、自身の資金で株式を購入しその後に売却を行う方法です。しかし株式取引では、信用取引を用いることで売りから入ることも可能です。

売りから入ることを「売建(うりだて)」や「空売り(からうり)」と言います。今回は信用取引の空売りについて説明したいと思います。「空売りとは何か?」「空売りのリスクは?」「空売りの注意点は?」実際に信用取引をしている方から信用取引をしていない方までわかりやすく解説いたします。

信用取引とは何か?空売りの仕組み

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「信用取引をやる予定はないし、するつもりもない」と考えている方もおられると思います。もちろんこの考え方に対しては否定も肯定もしません。しかし、株取引を行う上で信用取引の仕組みを理解することはとても大切です。

なぜなら実際のマーケットでは「信用の取組み」「逆日歩」「信用規制」などの信用取引にまつわる情報で株価の変動が起こり得るからです。

信用取引とは

信用取引とは、一定以上の現金や株券を担保として証券会社に預け入れ、証券会社や証券金融会社より資金や株券を借りて行う取引です。信用取引を利用することで、自己資金より大きな金額の取引や自身で持っていない株を売ることができます。そして後者の自身で持っていない株を売ることが「空売り」にあたります。

空売りの仕組み

「売りから入る」や「持っていない株を売る」と言われてもピンとこない方もおられるのではないでしょうか?

例をあげて説明します。現在500円で取引されているA銘柄があったとします。
一般的な買から入る場合では、500円で購入した時に600円で売却すれば100円の利益になり400円で売却すれば100円の損失になります。

では売りから入る場合はどうなるでしょうか?

500円で空売りをした場合、買いとは反対に600円で買い戻せば100円の損失になり400円で買い戻せば100円の利益になります。

空売りとは「株価が下落したら利益」となり「上昇したら損失」が発生する仕組みです。しかし、少し考えてみて下さい。空売りの場合、最初に市場で売却したA銘柄は自身が保有していた株ではなく借りてきたものです。言うなれば他人の所有物です。したがって必ず返さなければなりません。ではいつまでに返さなくてはならないのでしょうか?

制度信用取引では借りた資金や株券は半年以内に返さなければならないルールがあります。

したがって半年以内に反対売買を行うか、現物のA株を渡す必要があります。証券用語では、空売りの反対売買を「買落(かいおち)」「買戻(かいもどし)」と呼びます。また、現物のA株を渡す行為を「現渡(げんわたし)」と呼びます。

空売りのリスクは?

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空売りは株価が下落することで利益を上げることが出来るので、特にマーケットの下落局面では効果を発揮します。しかし空売りには大きなリスクも顕在します。空売りの一番のリスクは「利益は限定されるが損失は限定されない」ことにあります。

例えば先ほどのA銘柄を購入した場合、A企業が破産し株価が1円になったとしても損失は500円を超えることはありません。反対に株価が上がり続ければ利益は限定されません。

では空売りの場合はどうでしょう?

空売りの場合、利益が最大になるのは株価1円で買い戻した場合の499円です。反対に株価が上がり続けた場合、損失は限定されません。仮にA株が1500円まで上昇した場合、投資金額を大きく超える1000円の損失が発生してしまいます。価格変動リスクは高いと言えます。

空売りのもう一つのリスクに「逆日歩」があります。

逆日歩は信用売り残が増加し貸株不足が生じた時に発生します。空売りをしている投資家は逆日歩を支払わなければならず、逆に信用買いをしている投資家は逆日歩を得ることが出来ます。保有期間が長くなれば、貸株料と相俟って損益に多大な影響を与える可能性も否定できません。

空売りの注意点は?

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空売りを行う際の注意点は上記のリスク以外にも次のことが挙げられます。

1、 期日は信用買いよりシビア
2、 大きく値を飛ばす可能性

制度信用取引では「買い」「売り」問わず期日が設定されます。しかし信用買いの場合は、資金があれば、現引きにより現物へと変更することが可能です。半年間信用で保有して株価が上がらなければ、その後は現物として上昇するまで保有することも可能です。しかし空売りの場合、現物を保有している上での「つなぎ売り」でない限り反対売買を行う必要があります。

株取引で買いから入った場合、致命的な損失が発生するのは民事再生法の適用や破産がなされた場合です。反対に売りから入った場合では、TOBやMBOが挙げられます。数だけで言えば後者の方が圧倒的に多いです。また材料によっては値段がつかないまま株価が数倍まで上がる可能性もあります。空売りをする場合は銘柄の時価総額や発行株式数、市場などに細心の注意を払う必要があります。

まとめ

空売りは使い方によっては非常に有効で投資の幅も広がります。しかし、ひとたび使い方を誤れば取り返しのつかない事態へと陥ります。まさに諸刃の剣と言えるのではないでしょうか。空売りを行う際は、自身でしっかりとしたルールを定め取引を行うことが大切です。最後に空売りのポイントをまとめてみました。

1 維持率には細心の注意をはらい建玉に占める売建の比率を高めすぎない。
2 低位株の空売りは極力避ける
3 日々の出来高が少ない銘柄への空売りは極力避ける
4 東証一部の銘柄以外への空売りには注意が必要(できるだけ225銘柄から選ぶ)