携帯事業へ参入した楽天の株価は割安と言えるのか?

株式投資

楽天株は話題豊富な一方で、株価の上昇が止まっている銘柄です。一方で、テレビCMも盛んに行っているため、気になる企業であることは間違いないでしょう。実際、日本のインターネット関連株の中でも、トップクラスの規模と業績を誇ります。この楽天株をしっかり分析して、あなたの投資判断の参考にしていただきたいと思います。

楽天株のファンダメンタルズ分析

楽天は、サッカーチームに欧州の有名選手を招いたと思えば、携帯参入を発表するなど、話題が豊富な銘柄です。特に第4の携帯会社になるという点で、会社がどのような状態か知っておくのは大切でしょう。ここでは、株価と事業の内容を紹介します。

下記チャートより、楽天の株価は2019年になってから上昇傾向です。ピークは6月の1,313円で、安値の710円から2倍近く上昇しました。その後、調整していますが、底堅い動きを続けています。

楽天チャート.png

業績予想を発表していませんが、2Qの時点で経常利益が1102億円に達しているので、順調に行けば過去最高を更新するでしょう。株価の評価は1,000円(時価総額約1兆4500億円)の時、PERが約9.7倍、PBRが1.79倍となり、通信株として考えるとかなり割安です。しかし、楽天はインターネットを事業の中心としていますが、業容はかなり手広くなっています。 

楽天の事業内容を大きく分けるとインターネットが約7割、FinTechが約3割となっています。それぞれの詳細を見ると以下のようになります。

インターネット事業

  • トラベル
  • デジタルコンテンツ
  • 通信などのインターネットサービス

FinTech

  • クレジットカード
  • 銀行・証券・保険
  • 電子マネーなどのFinTech(金融)サービス

楽天といえばインターネット企業のイメージですが、銀行・証券・保険も事業の中に入っています。これらの金融事業は株価の評価が低くなりやすいので、トータルで事業評価をすると株価は安くなると言えそうです。

また、最近5年間の経常利益が横ばいであることも、株価が割安になっている一因と言えるでしょう。しかし、事業展開の広さからわかるように、利益を積極的に投資し、売上高は順調に伸ばしています。その点では、株価がもっと高くても良さそうです。この疑問に対しての詳細は、次の章で解説します。

楽天株の割安性を配当から見てみる

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楽天株が割安な理由の一つに、経常利益の成長率が低いことを上げました。一方、売上は二ケタ成長を維持しています。また、楽天はインターネットを軸にしたコングロマリット企業といえるかもしれません。一般的にコングロマリット企業は株価が割安になります。

しかし、コングロマリット企業だからと言って、ただ株価が割安のままでは、株主を満足させることができません。楽天株が、割安を理由に株主の不満を受けている理由の一つが、ここにあります。一般的なコングロマリット企業は、株価が割安でも高利回りの配当を設定しています。そのため、マーケットが上昇基調になったときは、やや株価が劣後しても配当金で運用利回りを賄えます。さらにマーケットが下落基調の時は、配当の分運用利回りを安定して提供できるので、長期投資家や機関投資家に選好されるのです。

これに対して楽天は、5年間配当が4.5円で固定されています。楽天の言い分としては、成長投資でお金が必要なので、配当を引き上げる気はないという事でしょう。しかし、売上だけ伸びても利益と配当が伸びなければ、投資家は期待する利回りを得られません。このため、相対的に利回りが高くなるように、株価位置が低いままに甘んじていると言えます。

資本政策も投資家を不安にさせている

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話しがややさかのぼりますが、楽天の株価が順調な上昇を終えたのは2015年からです。この年、資金調達のために公募増資をしました。これを契機に、最高値の2,395円から2年以上にわたって株価が下がり続け、2018年6月には700円を付けました。その間、2017年2月に1000億円の自社株買いにより、株価のテコ入れをしましたが、そのあとも1年以上株価が下がり続けたことになります。

今年、楽天は携帯事業参入を発表しました。当時を知る投資家としては、株価が1/3になるような増資が行われることを、恐れているかもしれません。増資後の業績は順調でしたが、再び株を買いあがるには、携帯事業参入が足かせになっているといえるかもしれません。

携帯事業参入はポジティブニュースになるか?

携帯事業参入はポジティブニュースになるか?.gif

これまでの分析をもとにすると、楽天株に投資するのは携帯事業の進み方次第と言えそうです。5Gへの切り替え時期とも重なるため、投資額は6000億円と言われています。現時点で自己資本比率が10%程度の楽天にとって、この投資はかなり重いと言えます。銀行借り入れもするでしょうが、増資もある程度行われるでしょう。せめて、その資本政策の概要だけでも確認してから投資を考えたほうが良さそうです。

まとめ

近年、話題豊富な楽天株について、株価と事業内容を分析しました。インターネットのコングロマリット企業といえる楽天は、事業の多様性による安定感があるものの、成長性と配当のバランスが悪いため、株価が割安になっています。この状況の中、巨額の投資を必要とする携帯事業への参入で、追加の資本政策が行われる心配があるうちは、2014年以前のような株価の上昇トレンドは期待できなさそうです。一方、携帯事業の計画が見えてきてから投資すれば、日本を代表するインターネット企業として魅力的な投資先ともいえるでしょう。